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朗読の部屋



インデックス


2005年10月30日(日)

午後2時から(開場は30分前)

主催 鹿嶋市立中央図書館

会場 鹿嶋市立中央図書館・視聴覚室

入場無料 先着50名






●朗読作品●

『注文の多い料理店』 【宮澤賢治】  読み手 生井沢弘美

=== あらすじ ===

イギリス風の身なりで猟銃を構えた2人の青年紳士が山奥に狩猟にやってきたが、
獲物を一つも得られないでいた。やがて山の空気はおどろおどろしさを増し、
山の案内人が途中で姿を消し、
連れていた猟犬が2匹とも恐ろしさに泡を吹いて死んでしまっても、
彼らは「2千何百円の損害だ」と、表向き金銭的な損失だけを気にする。

しかし、山の異様な雰囲気には気付いたらしく、宿へ戻ろうとするが、山には一層強い風が吹き、
木々がざわめいて、帰り道を見つけることができない。
途方に暮れたとき、青年たちは西洋風の一軒家を発見する。
そこには「西洋料理店 山猫軒」と記されており、2人は安堵して店内へと入っていく。



『うた時計』 【新美南吉】  読み手 土野由美子


 
二月のある日、野中のさびしい道を、十二三の少年と、
皮のかばんをかかへた三十四五の男の人とが、同じ方へ歩いて行つた。
 風が少しもない暖かい日で、もう霜がとけて道はぬれてゐた。
 かれ草にかげを落して遊んでゐる烏が、二人のすがたにおどろいて土手を向かふにこえるとき、
黒いせなかがきらりと陽の光をはんしやするのであつた。

「坊、一人でどこへ行くんだ。」
 
男の人が少年に話しかけた。
 少年はポケットにつつこんでゐた手を、
そのまま二三度前後にゆすり、人なつこいゑみをうかべた。

「町だよ。」

 これは、へんにはづかしがつたり、いやに人をおそれたりしない、
すなほな子供だなと、男の人は思つたやうだつた。
 そこで二人は話しはじめた。

「坊、なんて名だ。」

「れんていふんだ。」

「れん? れん平か。」

「ううん。」

と少年は首をよこにふつた。

「ぢや、れん一か。」

「さうぢやないよ、をぢさん。ただね、れんていふのさ。」

「ふうん。どういふ字書くんだ。聯隊の聯か。」

「ちがふ。てんをうつて、一を書いて、ノを書いて、二つてんをうつて…」

「むつかしいな。をぢさんはあまりむつかしい字は知らんよ。」

 少年はそこで、地べたに木ぎれで「廉」と大きく書いて見せた。


『羅生門』 【芥川龍之介】  読み手 生井沢弘美


或日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待つてゐた。
廣い門の下には、この男の破瓜に誰もゐない。
唯、所々丹塗の剥げた、大きた圓柱に、蟋蟀が一匹とまつてゐる。
羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男の破瓜にも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、
もう二三人はありさうなものである。

それが、この男の外には誰もゐない。
何故かと云ふと、この二三年、京都には、地震とか、
辻風とか火事とか飢饉とか言ふ災がつヾいて起つた。
そこで洛中のさびれ方は一通りではない。
舊記によると、仏像や仏具を打砕いて、その丹がついたり、金銀の箔がついたりした木を、
路ばたにつなみ重ねて、薪の料に売つてゐたと言ふ事である。

洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てヽ顧る者がなかつた。
するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸が棲む。盗人が棲む。
とうとうしまひには、引取り手のない死人を、この門へ持つて来て、
棄てヽ行くと言ふ習慣さへ出来た。
そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがつて、
この門の近所へは足ぶみをしない事になつてしまつたのである。

その代り又鴉が何処からか、たくさん集つて来た。
昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾のまはりを啼きながら、飛びまはつてゐる。
殊に門の上空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻をまいたやうにはつきり見えた。
鴉は、勿論、門の上に死人の肉を、啄みに来るのである。

ーー尤も今日は、刻限が遲いせゐか、一羽も見えない。
唯、所々、崩れかかつた、さうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、
鴉の糞が、点々と白くこびりついてゐるのが見える。
下人は七段ある石段の一番上の段に、洗ひざらした紺の襖の尻を据ゑて、
右の頬に出来た、大きな面□(皮+靤のみぎ)を気にしながら、
ぼんやり、雨のふるのを眺めてゐた。
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