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リブ・ストーリー Vol. 095   2001/10/14 (日)掲載

「暗誦と朗誦」
暗誦(あんしょう)■言葉を覚えて声に出して読み上げる
朗誦(ろうしょう)■長い文章や覚え難いものを文章を見ながら声に出して読み上げる

 皆さんは日本語としての文章を声を出して読む事をしていますか。かつては小学校の授業の中でも取り上げられていたものが、現在ではかなり低くなってきているそうです。日本の文化として暗誦文化は現在絶滅の危機に瀕している状態です。そこで、声に出して読み上げる暗誦や朗誦の文を紹介したいと思います。様々な名文、名文句があるので、これから機会があるごとに紹介していきます。ぜひ、声を出して日本語としてのリズムやテンポを楽しんでください。

 「寿限無(じゅげむ)」

「あらまあ、金ちゃん、すまなかったねえ。じゃなにかい、うちの寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助が、おまえの頭にこぶをこしらえたって、まあ、とんでもない子じゃあないか。ちょいと、おまえさん、聞いたかい?うちの、寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助が、金ちゃんのあたまへこぶをこしらえたんだとさ」

「じゃあなにか、うちの寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助が、金坊のあたまへこぶをこしらえたっていうのか。金坊、どれ、みせてみな、あたまを・・・・・なーんだこぶなんざあねえじゃあねえか」

「あんまり長い名前だから、こぶがひっこんじゃった」

落語で有名な「寿限無」ですが、縁起のいい名前をつなげてとんでもなく長い名前になってしまったというものです。この名前の由来は意外と知らないのではないでしょうか。


【解説】
寿(よわい)限りなしで死ぬことのない「寿限無」、天人が三千年に一度下界に下りるたびに衣で巌を撫で、巌を擦り切るのに要する時間が一劫からくる「五劫の擦り切れ」、膨大で獲り尽くせない海の幸「海砂利、水魚」、水雲風の行く末は果てがないので「水行末、雲来末、風来末」、衣食住は欠かせず「食う寝る所に住むところ」、生命力強靭な藪こう子「やぶらこうじのぶらこうじ」、昔、唐土(もろこし)にあった「パイポ」という国の「シューリンガン」王と「グーリンダイ」后のあいだに生まれ超長生きした双生児姉妹の名「ポンポコピー」と「ポンポコナ」、長久と長命を合わせて「長久命」、長く助ける「長助」から成る名前。

資料■「声に出して読みたい日本語」齋藤孝著より

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