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リブ・ストーリー Vol. 099   2001/11/20 (火)掲載

「ガマの油 口上」
ガマの油売りの口上を紹介しましょう。この物売り口上は、何処かで聞いたことはあるのではないですか。昔の縁日ではなくてはならない、定番でしょう。今は、縁日で見ることは少ないかもしれません。なかなか聞くことが出来なくなる、物売り口上ですが、言葉のリズムに乗って聞くと思わず買ってしまいそうになる魅力がありませんか。


サアーサアー お立合。ご用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで。

遠出山越え笠のうち、聞かざる時は物の黒白出方善悪がとんと分からない、山寺の鐘が ゴーンゴーンと鳴ると言いども、童児来って鐘にしゆもくを当てざればとんとカネの音色がわからない。

サテお立合

手前ここに取りいだしたるは筑波山名物ガマの油、ガマと申してもただのガマとガマが違う、これより北、北は筑波山のふもとは、おんばこと云う露草をくろうて育った四六のガマ、四六五六はどこで見分ける。

前足の指が四本、後足の指が六本合せて四六のガマ、山中深く分け入って捕いましたるこのガマを四面鏡ばりの箱に入れるときは、ガマはおのが姿の鏡に映るを見て驚き、ターラリターラリと油汗を流す、これをすきとり柳の小枝にて 三七 二十一日間、トローリトローリと煮つめましたるがこのガマの油。

このガマの油の効能は、ひびにあかぎれ、しもやけの妙薬、まだある大の男の七転八倒する虫歯の痛みもぴたりと止る、まだある出痔いぼ痔、はしり痔、はれもの一切、そればかりか刃物の切味を止める。

取り出したるは夏なほ寒き氷のやいば、一枚の紙が二枚 二枚の紙が四枚四枚の紙が八枚 八枚の紙が十六枚 十六枚が三十と二枚 三十二枚が六十四枚 六十四枚が一束と二十八枚ほれこの通り、ふっとちらせば比良の暮雪は雪降りのすがた、これなら名刀も一たびこのガマの油をつける時はたちまち切味が止る、おしてもひいても切れはせぬ。

と云うてもなまくらになったのではない、この様にきれいにふきとるときは元の切味となる。

サーテお立合

この様にガマの油の効能が分かったら遠慮は無用だ、どしどし買って行きやれ。


おじさん、一つもらうよ!

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